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油絵画家、永月水人のArt Life 

模写の手順

昨日の続きで、模写についてです。

模写を実践してみましょう。
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≪模写の手順≫

1≫作品選び

まず、元の作品を、選びます。
自分が何を学びたいかで、決めます。
色の混ざり方、構図、雰囲気、などなど。。。。

2≫心を探る

作品が決まったら、作者の心を読み取ります。
テーマは、何か、
何を一番、訴えたいのか。
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3≫技法を探る

点描法、ベタ無理、溶き油は使うか、ベッタリした塗り方なのか。

4≫ ラフスケッチをします。

全体の画面をスケッチして、全体の構図は、どうなっているか掴みます。
このとき、どこで、切り取っているのか
何故、ここで、切り取るのか、などを学びます。
デッサンが狂っては、なんにもなりませんので
物の位置、人物の鼻の高さ角度、毛の生え際、瞳の位置。
数ミリのずれもないように、気をつけます。
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5≫ 色

どのメーカーにせよ、その時代の色はもうありませんので、
現代の絵の具の中から、近い色を探します。
市販の色に近いものがなければ、自分で混ぜて、作り出します。
このとき、どの色とどの色を混ぜているのか、記憶してください。
分量の比率なども、憶えておいてください。
いざ、自分の作品に使うときに、役に立ちます。

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6≫筆のタッチ

下から上に払うクセ、左から右に払うクセなど、
描く人によって、クセはさまざまです。
作者のクセを読み取り、同じように筆を運びます。
速度も予測します。
早く「シャッ」と塗っているところを、
ノロノロ描いていては、同じにはなりません。
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7≫完成間近

完成間近で気が付くことは「雰囲気が違うこと」です。
そっくりに描いているのに、何故違うのでしょうか。
そこを考えます。
元絵と模写と、どこが違うのでしょうか。
答えは、作者の感じた「感動」です。
元絵は、感動や意欲が、漲っているはずです。
模写には、元絵に対する感動はあっても
絵にする前の感動がありません。
それが筆の勢い、些細な筆の運びに表れます。

8≫完成

元絵と見比べて、自分が勉強したいところが克服できていれば、クリアです。
次の模写に挑戦してみましょう。
雰囲気、タッチ、など、全然違う作家の作品も、
嫌いな作品も、挑戦してみましょう。
自分が、不得手な部分も、発見できます。
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9≫自分の作品に反映させる。

模写をたくさんしたら、自分の中に溶け込ませ、
自分の作品に、生かしていきましょう。
「この部分は、ああすれば表現できるな~」
と、簡単に思い浮かぶでしょう。
また、先人がしていない方法を考えるのにも、役に立ちます。
思いついても、先人に先を越されてしまっていては
知っている人が見たら、「真似ね」と言われてしまいます。
先人の偉業を、大いに活用させていただきながら、
自分の進歩へと、繋げていくのです。

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 ≪注意点≫

模写しすぎて、自分の作風・個性をどこかに捨ててはいけません。
模写は、あくまで、勉強です。
感化されすぎないように、気をつけてくださいね。
 


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by legracieuxtemps | 2007-08-14 02:18 | 絵画論 | Comments(9)
Commented by the-fuji at 2007-08-14 11:33
絵を画く方には大変参考になりますね。
Commented by ルイ at 2007-08-14 17:26 x
成るほど、そうか!!・・・・と理解したかのように頷いています。

そうそう、前に書かれていた。
「ピカソもそうだけど、絵のような平面は単調だよね。オブジェや彫刻のほうが直接心に響くものがあるよ。」と言ってみましょう。
これは、実際に使えそうで暗記しました。
Commented by Y at 2007-08-15 01:02 x
模写って、 こういういろいろなことを考えてするものなのか・・・・と
はじめて知りました。 

知らない世界だけど、読ませていただいて楽しいです。
Commented by ryonouske at 2007-08-15 01:10
模写って悪いイメージだったけれど、こういう風に学びながら
最終的には自分のオリジナリティーを生み出していくのですね。
色の配合なんて難しそう...色の種類って何万色...ってありそう
ですもの。その時代の絵の具ってものはもう再生不能なのですね。
今の時代不可能なものってないと思っていましたが....
難しいものなのですね。
Commented by 水人  at 2007-08-15 01:12 x
★the-hujiさま
こちらにも、コメントをありがとうございます。
模写は面倒ですが、やる価値はあります。
しかし、模写しすぎて、
自分の個性を潰してしまう人もいます。
そこを気をつけるほうが
難しいかもしれません。
Commented by 水人  at 2007-08-15 01:26 x
★ルイさま
いつも、コメントをありがとうございます。
お料理でも、写真でも、彫刻でも、建築でも
どんな職業にでも先人がいます。
先人の業を継承しながら、新しいものへ、挑戦し続けますね。
絵描きも同じです。
模写は、大事な勉強になります。

ピカソの会話は、是非使ってくださいね~
一般的に、ピカソが分からないんじゃなくて、
ただ、心に響かないだけですもの。
是非実践してみてくださいね。
Commented by 水人  at 2007-08-15 01:40 x
★Yさま
いつも、コメントをありがとうございます。
絵画の方にも興味をもっていただけて嬉しいです。

小さい頃は、大好きなアニメを描いたりします。
そうしていくうちに上手なりますよね。
同じことなんです。
漢字も同じです。
お手本があって、見ながら漢字を覚えます。

先人から直接教わらなくても
勉強する方法です。
とっても、「ため」になるんです。

私も昔は模写をすることが、理由が分からず、
「なんで?」と疑問に思っていましたが
何枚もするうちに、自分の技術が「肥えていく」のが分かったんです。
気持ち的には、
カレーしか作れなかったのが、
ハンバーグが作れたときの感動と、同じかしら~~(笑)
Commented by 水人  at 2007-08-15 01:54 x
★ryonousukeさま
いつも、コメントをありがとうございます。
模写と、模倣と、盗作とがあります。
ごちゃ混ぜになりやすいですよね。
模写はあくまで勉強のためにします。
模写は、「作品」ではありません。
模倣は構図や色やモチーフやポーズを真似させていただき、「作品」にします。
盗作はまるっきり盗み取って「作品」にしてしまうことです。
先日も話題になりましたね。

昔の色は、今と違って、天然の岩や、植物性油、卵の黄身などを使っています。
現在の絵の具には、化学薬品なども入っていて、
発色がよく耐久性も優れています。
復刻版も出せるでしょうが、耐久性は現在の方が優れているため
わざわざ昔の絵の具を用いることは、難しいと思います。

そうそう、フランスの国王のマントには、
ルビーの粉なども用いられているんです。
とても手が出せません(笑)

絵の具が混ざると、元の絵の具がなんだったのか
探るのはとても大変です。
私の作品の背景も、何と何が混ぜてあるのか
もう、自分でも分かりません~~^▽^;
Commented at 2010-11-10 15:13 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。